Sunday 2 November 2025
Home      All news      Contact us      RSS      English
huffingtonpost - 2 days ago

「外国人材の受け入れはリスクではなくチャンス」日本のトップ企業が実践する“共に働き、成長する”ソリューションとは

日本社会が人口減少という大きな問題に直面する中で、外国人雇用は「企業の競争力を左右する経営戦略」だとも言われている。すでに多様な国籍の社員と共に働く日本企業は、どのように外国人材を登用し、組織を強化しているのか。「共に働き、共に成長する」秘訣とは。外国人支援事業のグローバルトラストネットワークス(GTN)が都内で10月、外国人雇用をめぐるサミットを主催し、約200社が参加。楽天グループやセイノー、ゼンショー両ホールディングスなど外国人を多く雇用する企業が事例を紹介し、専門家らと議論を交わした。左から、GTNの後藤裕幸さん、楽天グループの大前友香さん、ゼンショーホールディングスの鈴木直行さん。「食のインフラを共に支える」仲間。海外進出で活躍もサミットには、外食、物流、ビルクリーニングなど、日本で今、人手不足が著しい業界のトップクラスの企業が登壇。現実問題として日本人の働き手が見つかりにくい中、どのように外国人材の助けを得て現場を回し、トレーニングや組織作りを行なっているかという経験と知見を共有した。ゼンショーホールディングスが展開する、「すき家」「はま寿司」「ロッテリア」「なか卯」などのレストランでは、多くの外国人が働いている。グループ組織開発本部長で執行役員の鈴木直行さんは、「食のインフラを支えるため、2013年頃から留学生を中心とした外国人材採用の必要性が高まりました」とし、今では1万人以上の外国人スタッフが共に働いていると説明した。現在でも労働力不足は日本社会の大きな課題だが、人口減少により2040年には社会を支える現役世代が8割になり、労働力が1200万人足りなくなるという「8がけ社会」が到来する。今後、あらゆる業界でますます働き手が足りなくなることは確実だ。セイノーホールディングスの河合秀治さん(左)とゼンショーホールディングスの鈴木直行さん(右)各レストランの人手不足を解消するために、ゼンショーは10年以上前から外国人の採用を積極的に実施。留学生のアルバイトの他にも、在留資格「特定技能」での採用を進め、より長い期間働ける食のプロフェッショナルの育成を推進している。受け入れに際して、キャリア・生活面でのサポートを強化するために、2019年には「JinZai」社を設立。特定技能の在留資格を持つスタッフの生活支援のほか、人材紹介も行なっている。同社のウェブサイトでは、特定技能の仕事の内容や募集要項、キャリアプランについて全てふりがな付きで掲載。問い合わせの電話は日本語のほか、英語、中国語、タイ語、ベトナム語など5カ国語で対応している。「すき家」や「なか卯」などで活躍するベトナム出身のストアマネージャーのインタビューも、ふりがな付きの文章で掲載している。また鈴木さんは、日本に留学した中国人がゼンショーの社員として日本で働いた後、中国進出の際に出店に携わって活躍したケースも紹介。「外国人スタッフとは、共に国内の食のインフラを守るだけではなく、国外で事業展開をする時、またそこで一緒に仕事をしたり、日本で共に働いた経験から得られた知見を活かしたりもできる」と話した。「多様な人材は受け入れ側を成長させる効果」。受け入れ側の「マインドの変革も必要」外食産業と同じく、人手不足が著しいのが物流業界だ。少子高齢化により生じる「2040年問題」では、労働力不足の深刻化が物流に大きな影響を与えるとされている。ドライバー不足は現在でも大きな課題だ。人手不足を背景に、2024年からは自動車運送業が特定技能の対象に加わり、トラックやバスなどのドライバーとしての採用の動きが加速化している。セイノーホールディングス専務執行役員の河合秀治さんは「運送業界ではまさにこれから、担い手が増えていくというタイミング」とし、以下のように話した。「同じ課題を抱える業界全体で受け入れの素地を作らなければと考え、プラットフォームを作っている最中。業界全体で受け入れていくことで、外国人ドライバーの皆さんにもフルポテンシャルを発揮していただければと思います」と話した。また河合さんは、外国人の受け入れには様々な基準があるのに対し、受け入れ側の日本企業はきちんと準備が整えられているかと疑問を投げかける。「外国人の受け入れに際しては日本語能力検定の基準などを設けていますが、受け入れ側にも体制の基準のようなものが必要なのかもしれない。外国人ドライバーがコミュニティーの中に入ってきてくれるに際し、日本企業側も学び、しっかりと体制を整えていかないといけないと強く感じています」それに対し、中央大学客員研究員の永島寛之さんは「外国人を受け入れる、日本の企業側のマインドセットを変革していく必要がある」と指摘。単なる労働力の補填として捉え、「日本人化」するようなトレーニングをするのではなく、多様なバックグラウンドを持った仲間と組織や事業を強化していくという考え方が意思決定層に必要となってくるとした。「受け入れの研修を実施するなどして企業側を変え、成長させることで、皆にとって良い、円滑な組織になる。多様な人材は、受け入れ側を成長させていく効果もあります」社員の2割以上が外国人。楽天グループを支える多様な人材楽天グループの大前友香さん多様なバックグラウンドを持つ人と共に、組織を強くしてきたのが、楽天グループだ。2012年に社内公用語を英語化したことでも知られる楽天グループでは2024年時点で社員の23.6%が外国人で、従業員の国籍は100を超える。社内公用語を英語化した背景には、事業のグローバル展開のほか、国籍を問わず、優秀な人材をリクルーティングするという目的があった。人事企画部ジェネラルマネージャーで執行役員の大前友香さんは「必要なスキルセットを持った人材を採用するといった時に、国内だけでなく海外に目を向けて獲得できるというメリットがある」と説明する。「イノベーションを生み続け、独創的なアイデアを生み出し続けるためには、日本の労働市場だけではなく、世界中から優秀な人材を確保していくっていうことが重要であるという考えがありました」AI需要の高まりでエンジニア人材の確保が重要視される中、そのような取り組みが国内だけでなく世界各国からエンジニアを採用することを可能にしている。「外国人は日本社会に欠かせない存在」「受け入れはリスクではなくチャンス」GTNの後藤裕幸・代表取締役社長GTNの後藤裕幸・代表取締役社長は「今や外国人は日本社会に欠かせない存在」とし、社会にとっても企業にとっても「外国人の受け入れはリスクではなくチャンス」だと強調した。「外国人の雇用というテーマでは労働力の補填的な面がよく取り上げられます。日本の人口は毎年90万人ほど減少している中では、もちろん労働力の補填や経済への貢献という側面もありますが、それだけではなく、多角的にポジティブな影響があります」多様な人材で組織をつくっていくことが、組織や社会の変革やイノベーションを加速させる「推進力」になるとした。また、日本で暮らし働く外国人に「日本に来てよかった」と思ってもらうためには、日本社会や政府、企業全体でその素地をつくり、決まった短い期間ではなく、希望する人には長く働いてもらえる環境を整えるべきだと指摘した。(取材・記事=冨田すみれ子)【あわせて読む】外国人労働者を“現代奴隷”にしないために企業ができることは。「技能実習」→「育成就労制度」は「看板の掛け替えにすぎない」との指摘もRelated...外国人労働者を“現代奴隷”にしないために企業ができることは。「技能実習」→「育成就労制度」は「看板の掛け替えにすぎない」との指摘も街の強みは「多様性」。大久保の街で40年以上続く祭り、いま共に盛り上げるのは韓国やベトナムの人々日本に年間30万人増えている外国人。ゴミの分別や交通ルール…どう「伝える」? 日本人と外国人が一緒に考えてつくった最適解...クリックして全文を読む


Latest News
Hashtags:   

「外国人材の受け入れはリスクではなくチャンス」日本のトップ企業が実践する“共に働き、成長する”ソリューションとは

 | 

Sources